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私立学校振興助成法

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  あなたの私立学校が受け取る補助金の根拠になる法律です。

ポイント解説を付けました。どうぞ、お役立て下さい。

私立学校振興助成法
(昭和50年7月11日・法律 61号)
 最終改正:改正平成19年6月27日 法律96号

 私立学校振興助成法について貴重なポイント解説をしました。 

【目次】

 第1条    
目的
 第2条     定義
  第3条     学校法人の責務
 第4条     私立大学及び私立高校専門学校の経費費経費の補助について
 第5条     補助金の減額等
 第6条    
補助金の不交付
 第7条     補助金の増額
 第8条     学校法人が行う学費の貸与の事業についての助成
 第9条     学校法人に対する都道府県の補助に対する国の補助
 第10条  その他の助成
  第11条 間接助成
  第12条 所轄庁の権限
 第12条の2 意見の聴取など
 第13条 意見の聴取など2
 第14条 書類の作成等
 第15条 税制上の優遇措置
 第16条 準学校法人への準用
 第17条 事務の区分

【ポイント】
 昭和49年、国会に私学助成を求める署名が2000万人以上集まりました。これを受けて議員立法で私立学校振興助成法が誕生しました。 私学助成の根拠が明確になりました。

私立学校法59条は、「国又は地方公共団体は、教育の振興上必要があると認める場合には、別に法律で定めるところにより、学校法人に対し、私立学校教育に関し必要な助成をすることができる。」としています。ここでいう「別に法律で定める」の代表が私立学校振興助成法です。 

以下、参考文献:私立学校法講座(平成21年改訂版)小野元之著 学校経営研究会

第1章 総則

目 的
 第1条


 この法律は、学校教育における私立学校の果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体が行う私立学校に対する助成の措置について規定することにより、私立学校の教育条件の維持及び向上並びに私立学校に在学する幼児、児童、生徒又は学生に係る修学上の経済的負担の軽減を図るとともに私立学校の経営の健全性を高め、もつて私立学校の健全な発達に資することを目的とする。
 

【第1条・目的のポイント】
3つの目的を通して、私立学校の健全な発達を目指します。
 @学校の教育条件の維持・向上
 A保護者の経済的負担の軽減
 B学校経営の健全性アップ

(定 義)
 第2条


この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校をいう。

2 この法律において「学校法人」とは、私立学校法(昭和24年法律第270号)第3条に規定する学校法人をいう。

3 この法律において「私立学校」とは、私立学校法第2条第3項に規定する学校をいう。4 この法律において「所轄庁」とは、私立学校法第4条に規定する所轄庁をいう。

【第2条・定義のポイント】定義は、学校教育法、私立学校法と同じです。
 

(学校法人の責務)
 第3条

 
 学校法人は、この法律の目的にかんがみ、自主的にその財政基盤の強化を図り、その設置する学校に在学する幼児、児童、生徒又は学生に係る修学上の経済的負担の適正化を図るとともに、当該学校の教育水準の向上に努めなければならない。

【第3条・学校法人の責務のポイント】
 学校法人の責務は、第1条の目的を同じです 
 

(私立大学及び私立高等専門学校の経常的経費についての補助)
 第4条

 
 は、大学又は高等専門学校を設置する学校法人に対し、当該学校における教育又は研究に係る経常的経費について、その2分の1以内を補助することができる。

2 前項の規定により補助することができる経常的経費の範囲、算定方法その他必要な事項は、政令で定める。

【第4条・経常的経費の補助のポイント】
1.詳細は、施行令3条
 補助率を1/2以内にしたのは学校の自主的運営を考えてのことでした。なお、7条で補助の増額ができます。

詳細は、施行令第1条、 第2条
 経常的経費の範囲、算定方法などの詳細は施行令の第1〜3条で説明されています。

 

(補助金の減額等)
 第5条

 
 国は、学校法人又は学校法人の設置する大学若しくは高等専門学校が次の各号の一に該当する場合には、その状況に応じ、前条第1項の規定により当該学校法人に交付する補助金を減額して交付することができる。

1.法令の規定、法令の規定に基づく所轄庁の処分又は寄附行為に違反している場合

2.学則に定めた収容定員を超える数の学生を在学させている場合

3.在学している学生の数が学則に定めた収容定員に満たない場合

4.借入金の償還が適正に有われていない等財政状況が健全でない場合

5.その他教育条件又は管理運営が適正を欠く場合

【第5条・補助金の減額等のポイント】
 補助金の減額事由を5つあげています。
 @法令違反、寄付行為違反
 A定員超過
 B定員割れ
 C財政的×(税金滞納・借入返済滞納・著しい債務超過)
 D教育条件・管理運営が不適正

(役員間の紛争、職員・学生間の紛争・事務処理不適正)
 事由をみるといずれも減額が仕方ないですね。 

 

(補助金の不交付)
 第6条

 
 
国は、学校法人又は学校法人の設置する大学若しくは高等専門学校が前条各号の一に該当する場合において、その状況が著しく、補助の目的を有効に達成することができないと認めるときは、第4条第1項の規定による補助金を交付しないことができる

学校法人の設置する大学又は高等専門学校に、設置後学校教育法に定める修業年限に相当する年数を経過していない学部又は学科(短期大学及び高等専門学校の学科に限る。)がある場合においては、当該学部又は学科に係る当該補助金についても、同様とする。

【第6条・補助金の不交付のポイント】
 第1項は、5条(補助金の減額等)違反で、程度がひどく、補助金交付の目的が達成できない場合は、補助金を出さない旨を定めています。仕方ないですね。
 

(補助金の増額)
 第7条

 
 国は、私立大学における学術の振興及び私立大学又は私立高等専門学校における特定の分野、課程等に係る教育の振興のため特に必要があると認めるときは、学校法人に対し、第4条第1項の規定により当該学校法人に交付する補助金を増額して交付することができる。

【第7条・補助金の増額のポイント】
 補助金を増額支給する場合があることを定めています。学校法人にとってはありがたい規程ですね。
  

(学校法人が行う学資の貸与の事業についての助成)
 第8条
 

 
 国又は地方公共団体は、学校法人に対し、当該学校法人がその設置する学校の学生又は生徒を対象として行う学資の貸与の事業について、資金の貸付けその他必要な援助をすることができる。

【第8条・学費貸付助成のポイント】
 学校に生徒・学生に貸付事業をする場合国が援助できることを定めました。
 



(学校法人に対する都道府県の補助に対する国の補助)
 第9条


 都道府県
が、その区域内にある幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校又は特別支援学校を設置する学校法人に対し、当該学校における教育に係る経常的経費について補助する場合には、国は、都道府県に対し、政令で定めるところにより、その一部を補助することができる。

【第9条・都道府県に対する国の補助のポイント】
 高校以下の私立学校に都道府県が経常的経費の補助をする場合に、補助金の充実を図るために国が都道府県に補助することになりました(昭和50年より)。

 各都道府県の補助率が明示されてないのは、各都道府県の地方自治の原則を尊重するためです。

 助成法施行令第4条では、都道府県の児童・生徒1人当たりの補助金額に応じて国庫補助金の1人当たりの補助金を決めることになっています。
 

(その他の助成)
 第10条


 国又は地方公共団体は、学校法人に対し、第4条(経常的経費についての補助)、第8条(学費の貸付助成)及び前条(都道府県に対する補助)に規定するもののほか、補助金を支出し、又は通常の条件よりも有利な条件で、貸付金をし、その他の財産を譲渡し、若しくは貸し付けることができる。
 ただし、国有財産法(昭和23年法律第73号)並びに地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条及び第237条から第238条の5までの規定の適用を妨げない。

【第10条・その他の助成のポイント】
 国や自治体は学校法人に対し、経常費補助以外の補助や融資な条件での貸付、資産の譲渡や貸付ができるとしています。
 

(間接補助)
  第11条

 
 国は、日本私立学校振興・共済事業団法(平成9年法律第48号)の定めるところにより、この法律の規定による助成で補助金の支出又は貸付金に係るものを日本私学振興・共済事業団を通じて行うことができる。

【第11条・間接助成のポイント】
 私立大学の方は、よくご存じの私立学校振興・共済事業団からの助成金と貸付金です。

 経常費補助金は、文科省から特殊法人の事業団に一括交付され、事業団は各学校に補助金を分けて交付します。間接助成ですね。

 当該会計年度の資金収入のうち
前期末前受金及び期末未収入金は、収入の部の控除科目として、資金収支計算書の収入の部に記載するものとする。

2 当該会計年度の資金支出のうち前期末前払金及び期末未払金は、支出の部の控除科目として、資金収支計算書の支出の部に記載するものとする。
  

(所轄庁の権限)
 第12条
 


 所轄庁は、この法律の規定により助成を受ける学校法人に対して、次の各号に掲げる権限を有する。

1.助成に関し必要があると認める場合において、当該学校法人からその業務若しくは会計の状況に関し報告を徴し、又は当該職員に当該学校法人の関係者に対し質問させ、若しくはその帳簿、書類その他の物件を検査させること。

2.当該学校法人が、学則に定めた収容定員を著しく超えて入学又は入園させた場合において、その是正を命ずること。

3.当該学校法人の予算が助成の目的に照らして不適当であると認める場合において、その予算について必要な変更をすべき旨を勧告すること。

4.当該学校法人の役員が法令の規定、法令の規定に基づく所轄庁の処分又は寄附行為に違反した場合において、当該役員の解職をすべき旨を勧告すること。

【第12条・所轄庁の権限のポイント】
 所轄庁の権限は、ズバリ
 @報告徴収・質問検査権
 A収用定員超過の是正命令
 B予算の変更勧告
 C役員の解職勧告 です。 

   

(意見の聴取等2)
 第13条

 
 
所轄庁は、第12条第3号又は第4号の規定による措置をしようとする場合においては、あらかじめ、当該学校法人の理事又は解職しようとする役員に対して弁明の機会を付与するとともに、私立学校審議会等の意見を聴かなければならない。
 
 行政手続第3章第3節の規定及び前条第2項から第5項までの規定は、前項の規定による弁明について準用する。

【第13条・意見の調書など2のポイント】
 第12条の2に同じ
  

(書類の作成等)
 第14条

 
 
第4条第1項(経常的経費補助)又は第9条(都道府県の補助に対する補助)に規定する補助金の交付を受ける学校法人は、文部科学大臣の定める基準に従い、会計処理を行い、貸借対照表、収支計算書その他の財務計算に関する書類を作成しなければならない。

2 前項に規定する学校法人は、同項の書類のほか、収支予算書を所轄庁に届け出なければならない。

3 前項の場合においては、第1項の書類については、所轄庁の指定する事項に関する公認会計士又は監査法人の監査報告書を添付しなければならない。ただし、補助金の額が寡少であって、所轄庁の許可を受けたときは、この限りでない。

【第14条・書類の作成などのポイント】
 経常費補助を受ける学校法人は、学校法人会計基準に従った会計処理を行って、貸借対照表、収支計算書など財務書類を作り、監査報告書を添付して所轄庁に届け出ることなります。

また、予算書も所轄庁に提出します。

この条文が公認会計士監査の根拠になります。
 

(税制上の優遇措置) 第15条
 

 
 国又は地方公共団体は、私立学校教育の振興に資するため、学校法人が一般からの寄附金を募集することを容易にするための措置等必要な税制上の措置を講ずるよう努めるものとする。

【第15条・税法上の優遇措置のポイント】
 国と各自治体に学校法人に対して税務上の優遇措置を設けて下さいと努力義務をうたっています。ここでは、例示として寄付金がでています。学校法人の公益性、重要性から出てきた規程です。
  

(準学校法人への準用)
 第16条

  
 第3条(※学校法人の責務)、第10条(※その他の助成)及び第12条(※所轄庁の権限・意見の徴収など)から第13条までの規定は、私立学校法第64条第4項(※専修学校・各種学校)の法人に準用する。

【第16条・準学校法人への準用のポイント】
 専修学校・各種学校のみを設置する準学校法人について、各条の規程が準用されることが定められました。
第3条(学校法人の責務)
第10条(その他の助成)
第12条(所轄庁の権限)
第12条の2(意見の徴収など)

 それとこの条文により準学校法人に対する補助の根拠がはっきりしました。専修学校・各種学校にとってはとても大切な規程です。

この条文は昭和57年の改正で追加されました。
  

 

(事務の区分)
 第17条

 
12条(第16条において準用する場合を含む。)、
12条の2第1項(第16条において準用する場合を含む。)及び第2項(第13条第2項及び第16条において準用する場合を含む。)、
13条第1項(第16条において準用する場合を含む。)並びに第14条第2項及び第3項の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務とする。
 
 附則   

(個人立などの幼稚園に対する措置)
 第2条
 

 
【附則のポイント】

@助成と監督
個人立、宗教法人立の幼稚園に対する助成と監督規程をおきました。

A特別会計(3項、4項)
 また、助成をうけた幼稚園は、助成に係る学校会計を他の経理から区分して特別会計として経理し、学校会計の収入を他の会計の支出にあててはならないとしています。

B学校法人化へ(5項)
 補助金をうけた個人立などの幼稚園は、翌年度から数えて5年度以内に学校法人立にしなければならないとしています。
 

 
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